葬儀の挨拶 例文【喪主】
喪主挨拶の仕方

喪主としての挨拶には、形式・流れ・話し方のポイントがあります。
初めてでも落ち着いて務められるよう、「何を、どの順番で、どんな姿勢で話せばよいか」を分かりやすくまとめます。
◆ 挨拶をするタイミング
葬儀で喪主が挨拶するのは主に次のどちらかです。
- 式の最後(閉式挨拶)
→ 最も一般的。ご会葬へのお礼と喪主としての総括を述べる。 - 出棺前
→ 地域によって行われる。参列者に向けて最後の挨拶。
※閉式の挨拶として読む形式が自然です。
◆ 挨拶の基本構成(この流れを守ればOK)
喪主挨拶は、以下の流れが基本です。
- 参列のお礼
「本日はご多用のところ、故 ◯◯ の葬儀にご会葬いただき…」 - 生前の厚情への感謝
「故人が皆さまにお世話になり…」 - 故人の最期の様子、家族の気持ち(簡潔に)
※詳しく語りすぎない。触れる程度。 - 家族や遺族の今後への言葉
「引き続き変わらぬお付き合いを…」 - 喪主としての締めの言葉
「行き届かない点もあったかと存じますが…」 - 結びのお礼
「本日は誠にありがとうございました。」
◆ 話し方のポイント
● ゆっくり・低めの声で
感情的になる必要はありません。
「少しゆっくりすぎるかな?」という速度で話すと、落ち着いた印象になります。
● 原稿を持って読んでよい
喪主挨拶は暗記する必要はありません。
むしろ誤解なく伝えるために原稿を読み上げるのが一般的です。
● 参列者全体を見る
ずっと原稿だけを見るのではなく、
段落の区切りで少し顔を上げて、参列者に目を向けると印象が良いです。
● 故人への想いは“語りすぎない”
弔辞ではなく「喪主挨拶」なので、
個人的な思い出を深く語る場ではありません。
感情に触れるのは“ほんの少し”で十分です。
例:
「病の進行が思いのほか早く、もっと元気でいてほしかったという思いが残っております。」
◆ 喪主(主宰側)の挨拶:例文
葬儀での喪主挨拶は、簡潔・丁寧・落ち着いた表現が基本です。
◆【短め:約1分】
本日はご多忙の中、◯◯(故人名)の葬儀にご会葬いただき、誠にありがとうございます。
故人が生前に皆さまから賜りました温かいご厚情に、遺族を代表して心より御礼申し上げます。
突然の別れで、まだ気持ちの整理もつかない状況ではございますが、
皆さまのお言葉やお支えに励まされ、深い悲しみの中にも感謝の念を抱いております。
本日は何かと不行き届きの点もあったかと存じますが、どうかお許しくださいませ。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
◆【やや長め:約1分30秒】
本日はご多用のところ、◯◯(故人名)の葬儀・告別式にご参列いただき、誠にありがとうございます。
生前、故人が皆さまから頂戴しました温かいご厚情に、遺族一同、深く感謝申し上げます。
◯◯は、家族をはじめ、周囲の方々とのご縁に恵まれ、皆さまのお力添えの中で人生を歩んでまいりました。
そのことを思いますと、遺族として胸が熱くなる思いでございます。
突然の別れとなり、未だ気持ちの整理がつかない状況ではございますが、
皆さまから頂くお言葉ひとつひとつに支えられ、故人もきっと喜んでいることと存じます。
本日は行き届かない点も多々あったかと存じますが、何卒ご容赦くださいませ。
皆さまには、今後とも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
◆【長め:約3分】
本日はご多用のところ、母 ◯◯ の葬儀にご会葬いただき、誠にありがとうございます。
生前に賜りました温かいご厚情に、遺族を代表して心より御礼申し上げます。
母は〇歳で〇〇を発病いたしました。
最初は認知症と診断されましたが、いくつかの病院で検査を重ねた結果、病名が明らかになりました。
その後は老人ホームに入所し、ほぼ寝たきりに近い状態となりながらも、入退院を繰り返し、懸命に日々を過ごしておりました。
思った以上に病状の進行が早く、本人も家族も、もう少し元気でいてほしかったと、深い残念の思いがございます。
母は一人娘として育ち、家業である絹織物の製造業の家の中で、家の歴史や仕事のことをよく知っておりました。
大学卒業後は家業を手伝い、その後はほぼ専業主婦として、家族を第一に考えて生きてまいりました。
気が強く、時には口うるさく感じることもありましたが、裏を返せば、それだけ家族思いで、家の平穏を誰より願う人でした。
父が少々難しいところのある人でしたので、母はいつも家族の調整役として、その場を和ませ、つないでくれておりました。
自分のことはさておき、外へ出て人とのつながりを大切にしていた社交的な人でもありました。
美しい容姿もあってか、周囲からよく可愛がられ、友人づきあいも上手でした。
特定の一つというより、ゴルフやお茶、お花、カラオケ、旅行、社交ダンスなど、いろいろなことに好奇心旺盛に挑戦しては楽しんでおりました。
学生時代は卓球部で、家事もそつなくこなし、器用な人でした。
私は母から、家の昔話や絹織物業界の華やかな時代の話をよく聞きました。
会社の経営方針についても、実務は任せてもらっていましたが、折に触れて相談に乗ってくれ、母なりの視点で助言をしてくれたことは、今も心に残っています。
孫二人のことも常に気にかけ、結婚のことも心配しながら、家族の幸せをいつも願っておりました。
その思いが叶うところを、もっと見せてあげたかったと心から思います。
母が生前に皆さまから賜りましたご厚情に、あらためて深く感謝を申し上げます。
本日は行き届かない点も多々あったかと存じますが、何卒ご容赦くださいませ。
今後とも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
