喪主 孫の挨拶

本日はご多用のところ、故・〇〇の葬儀にご参列いただきまして誠にありがとうございました。私は故人の孫にあたります、■■と申します。本来ならば、父、△△がご挨拶を申し上げるところではございますが、脳梗塞にて療養中のため、私が父に成り代わりましてご挨拶させていただきます。

故人は大正〇〇年〇月〇〇日、◇◇家の長男として福島県□□市にて生を受けました。若い頃は苦労も多く、自分のことは二の次で仕事勤めをしながら、葉タバコや桃を栽培し、家のため、家族のために一生懸命働いてまいりました。

決して口数の多い人ではありませんでしたが、家長としての強い責任感と誇りを持ち、とにかく家族一筋にまじめに人生を人でした。

そんな中、趣味は野馬追いに出ることだったとも聞いております。温厚で優しい反面、大変我慢強く、祖父の口から「辛い」というような言葉を一度も聞いたことがございません。

そんな祖父が昨年十一月より体調を崩し、検査で癌が見つかりましたが、その時にはすでに治療ができるような状態ではありませんでした。きっと、痛みで辛い時もあったことと思いますが、それを周りに知らせることなく、一人我慢していたのかと思うと今でも胸が締め付けられる思いです。

家族で相談し、本人には癌であることを告知せず、病状を見守ってまいりましたが、病には勝てず、〇月〇日、静かにその生涯を閉じました。享年〇〇歳でございましたが、日頃から「九十歳まで生きられればいい」と口癖のように申しておりましたので、できることならその願いを叶えさせてあげたかったと少し残念に思っております。

思い起こしてみますと、父が家にいなかった分、祖父は私たちに父の代わりにいろいろなことを教えてくれました。それは、私たち残された家族にとって、かけがえのない心の財産であり、これからも大切な祖父の教えとして受け継いでいく所存でおります。

生前はひとかたならぬご厚誼を賜りましたことを故人に代わりまして、厚く御礼申し上げます。本日は、多くの皆様にお見送りいただき、故人もさぞかし感謝していることと存じます。今後は残された私どもにも、祖父の生前と変わることなく、ご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日はまことにありがとうございました。

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